
中外製薬 からだとくすりのはなし / 免疫について
IFReCに在籍する免疫学研究者がお勧めする図書をご紹介します。研究者がどんな本を読んでいるのか? 思いがけない一面を垣間見るかもしれません。研究者や研究について、興味を抱くきっかけになると嬉しいです。
私がお勧めする書籍は、吉村昭の『暁の旅人』と『白い航跡』、司馬遼太郎の『胡蝶の夢』、の3冊です。『暁の旅人』では、幕末から明治維新にかけて活躍して蘭方医・松本良順の生涯を描いた歴史小説です。漢方医ばかりであった江戸時代の末期、実証医学としての西洋医学を学び、生き抜いた松本良順が、史実に忠実に描かれています。同じく吉村昭の『白い航跡』。今はほとんど見かけなくなった脚気は、江戸-明治にかけて、死に至る不治の病でした。幕末に西洋医学を学んだ高木兼寛が、脚気の予防法を確立するまでの激動の人生が描かれています。明治初頭の日本に、西洋医学がどのように取り入れられたかを知る上でも非常に興味深一冊です。司馬遼太郎による『胡蝶の夢』は『暁の旅人』と同様に、蘭方医・松本良順の生涯を描いた歴史小説です。司馬遼太郎ならではの視点から、幕末から明治にかけての激動期が描かれています。