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2025.04.25

追悼 Dr. Fritz Melchers

IFReC 設立時から多大な貢献を頂いた世界的な免疫学者 Fritz Melchers 博士が、去る 2月24日に亡くなりました。Melchers 博士の長年の友人である IFReCの岸本忠三特任教授から追悼のお言葉を頂きました。
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本年2025年2月末に、ベルリンのMax-Plank研究所にいる友人から、Fritz Melchersが亡くなったという知らせを受け茫然とした。彼とは1980年来の友人であると共に、免疫学でBリンパ球の研究分野も同じとしていた仲であった。

1980、1990年代、私はよくヨーロッパに出かけたが、必ずバーゼルの免疫研究所に立ち寄った。 彼は1980年から20年間、2000年に、この研究所が閉鎖されるまで所長を務め、この研究所の発展と免疫学の発展に貢献した。私の多くの研究者仲間たちがここで研究した。

もう1人、私と同じBリンパ球の研究仲間であった、NIH国立衛生研究所のWilliam Paulも10年前にこの世を去った。1980年代、国際免疫学会が開かれた機会にMelchers、Paulと私の3人で、Bリンパ球を活性化する分子に、順にBSF-1、2、、、、と名付けようとしたことを思い出す。

Fritzは、日本の免疫学会も支援し、Melchers' Travel Awardとして若い日本の研究者が外国に行く旅費の援助を行ってくれた。Fritz Melchersも William Paulも私より3才年上であったが、2人ともいなくなるとは想像もしなかった。

誰でも80才後半になれば、人生を終わっていくのが普通であるが、やはり同じ年代のひとりとして、何とも言い難い寂しさを覚える。しかも2人とも、免疫学、特にBリンパ球の研究分野で後世に残る素晴らしい研究成果を挙げた。亡くなっても彼らの残した研究成果は、免疫学の教科書に残っていくであろう。