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Research
2024.10.22

ヒト神経脳疾患患者のリン脂質フリッパーゼ基質特異性を変化させる点変異(長田G, in PNAS)

PRESS RELEASE

ATP11A は、細胞膜でホスファチジルセリンを外層から内層に特異的に転移させるフリッパーゼとして作用します。長田重一教授らの研究グループは、これまでにこの分子の細胞外部位の点変異がホスファチジルコリン (PC) の異常転移を引き起こし、スフィンゴミエリン (SM) 合成酵素遺伝子の発現増強を通してSMが細胞膜の外層に蓄積されることを報告しています。

本論文で同グループは、USA, カナダ、ベルギーの研究者と共同で神経疾患の患者 3人が ATP11A の基質出口部位に点変異を持っていることを発見しました。これらの変異も 細胞膜でPC の内層への異常転移を引き起こしました。研究グループは分子動力学シミュレーションによって、これらの変異体がフリッパーゼの出口ゲートで PCに強く結合し、入口ゲートの構造変化を引き起こすことで基質特異性を変える可能性があることを指摘しました。
この成果は、2024年10月21日に米科学誌 Proc Natl Acad Sci U S A. オンラインに掲載されました。



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長田 重一 教授

snagataifrec.osaka-u.ac.jp

免疫・生化学