全身性強皮症では、免疫異常を基盤として皮膚、肺、腎臓、消化管といった多臓器に血管の異常と組織の線維化を主体とした病変を生じます。様々な全身性自己免疫疾患の中でも、特に生命予後不良な疾患の一つで、個々の患者さんに最適な治療薬の選択や治療開始時期の決定が十分に確立されていません。

大阪大学大学院医学系研究科の島上洋さん（博士課程）、西出真之講師（呼吸器・免疫内科学/IFReC）、楢﨑雅司特任教授（医学系研究科先端免疫臨床応用学共同研究講座）、熊ノ郷淳総長らの研究グループは、日本に２万人以上の患者さんがいるとされる全身性強皮症に着目し、患者さんの血液や臓器の１細胞解析を行いました。その結果、強皮症腎クリーゼ呼ばれる命にかかわる腎臓の病変や、強皮症関連（進行性）間質性肺疾患を発症する患者さんにおいて、血液中に特殊な細胞集団が増加する「サイン」を発見し、これらの細胞集団がそれぞれの臓器のダメージに大きく関わっている可能性を示しました。命にかかわる全身性強皮症の病状を解明し、発症を予測するバイオマーカーや個別化医療への応用が期待できる研究成果です。
(Nature Communications on June 17, 2025)

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西出 真之 講師

大阪大学 大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学