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Research
2025.07.25

STATシグナル伝達30年の常識を再考:STAT1のスレオニン・スイッチが腸炎における新たな保護機構を明らかに(Hozaifa-岸本 G, in PNAS)

PRESS RELEASE

炎症は、身体を守り、治癒を促すために不可欠な一方で、制御を失うと有害にもなり得る「諸刃の剣」です。炎症応答が細胞レベルでどのように精密に調整されているかを理解することは、より的確で効果的な治療法を開発する上で極めて重要です。

STAT1はこれまで30年以上にわたり、インターフェロン応答を介したチロシン701(Tyr701)のリン酸化によって活性化されることで知られ、主に抗ウイルス防御に関与していると考えられてきました。Hozaifa Metwally 特任助教, 岸本忠三特任教授(IFReC 免疫機能統御学)らのグループは、STAT1において新規のリン酸化部位であるスレオニン748(Thr748)を同定しました。ここでは、Thr748のリン酸化が従来型のTyr701とは独立して機能し、炎症ストレス(たとえば大腸炎による組織損傷)下での上皮のレジリエンス(回復力)を高めることを明らかにしました。
この成果は、2025年7月22日に米科学誌 Proceedings of the National Academy of Sciences USA (PNAS) に掲載されました。



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Kang-岸本 研究室

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免疫機能統御学