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CTLA-4 は Foxp3 を発現した制御性T細胞の働きに必須である。(坂口教授らが Science に掲載)

免疫系に内在するFoxp3を発現するCD4制御性T細胞(Treg)は、免疫自己寛容と免疫恒常性の維持に必須です。坂口教授らのグループは、Treg特異的にCTLA-4を欠損させたマウスを用いることで、Treg上に発現したCTLA-4の重要性とCTLA-4による免疫抑制のメカニズムを明らかにしました。


<研究の背景>

CD25+CD4+制御性T細胞Tregは、自己免疫病、アレルギーなどの過剰な免疫応答を抑制している細胞群です。Tregを減らすことで腫瘍・癌に対する免疫応答を高め、逆に減らすことで移植の際の免疫応答を抑制することができます。Tregは特異的に転写因子Foxp3を発現しています。更に、Tregは常にCTLA-4を高発現しており、Foxp3がCTLA4の発現をコントロールしていることが知られています。

一方、CTLA4はT細胞免疫を抑制的に制御する細胞表面蛋白として知られています。その重要性はCTLA4を欠損したマウスが致死的な炎症細胞浸潤を認めること、CTLA-4遺伝子の多型性が自己免疫病と関連があること、CTLA-4を阻害する抗体が悪性腫瘍に有効なことから示されています。しかし、どの細胞上のCTLA-4がどのようにして免疫応答を抑制しているのかについては充分に解明されていませんでした。


<本研究の内容>

坂口教授らのグループは、Foxp3を発現するTregでのみCTLA-4遺伝子を欠損したマウスを作製し解析しました。すると、全身性のリンパ球増殖や致死的なT細胞性自己免疫疾患、および免疫グロブリンE(IgE)の過剰産生が起きることを発見しました。さらに、このマウスは自己の癌細胞に対しても強力な免疫応答を示しました(図A)。

Treg特異的なCTLA-4の欠損により、Tregの免疫抑制機能はin vivoとin vitroの両方で著しく低下しました。特に、Tregによる樹状細胞上のCD80とCD86に対する発現抑制効果が減少しました。このようにTregは抗原提示細胞による他のT細胞活性化能を下げることで免疫応答を抑制しており、そのためにはCTLA-4が必須であると考えられます。


<今後の展開>

CTLA4による免疫抑制のメカニズムが明らかになることによって、CTLA4を標的とした自己免疫病、悪性腫瘍に対する治療法の開発・改良が期待できます。


注1) CTLA-4: Cytotoxic T Lymphocyte Antigen 4
注2) Foxp3: 制御性T細胞に特異的に発現している転写因子で、制御性T細胞の分化や機能を司る。
注3) CD80, CD86: T細胞の活性化に必要な補助刺激シグナルの伝達分子。

322_271_F3A.jpg 図A: Treg特異的なCTLA-4の欠損は腫瘍免疫を促進し、癌の進行を抑える 。
CTLA4正常のマウス(FIC)もしくはTreg特異的にCTLA4を欠損したマウス(CKO)の脾臓細胞を、T細胞を持たないマウスに移植した後、皮膚に白血病細胞を接種し、腫瘍径を測定した。FICマウスから脾臓細胞を移植されたマウスは死に、CKOマウスから移植されたマウスは生き延びた。(+)は癌の進行による死亡を表す。腫瘍の直径を隔日で測定し、直径2cmを超えたマウスは安楽死させられた。

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<お問い合わせ先>

坂口 志文(さかぐち しもん)
〒606-8507
京都市左京区聖護院川原町53
京都大学再生医科学研究所 生体機能調節学分野
(大阪大学免疫学フロンティア研究センター 実験免疫学研究室)
Tel: 075-751-3888 Fax: 075-751-3820
E-mail: shimon@frontier.kyoto-u.ac.jp

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