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破骨細胞融合を制御する新たな転写調節因子の同定に成功 (審良拠点長がJEM に掲載)

日本学術振興会特別研究員の丸山健太医師、IFReCの審良静男教授(拠点長)らの研究グループは、破骨細胞形成過程において誘導される転写調節因子Sbno2が破骨細胞の正常な融合に必須であることを発見しました。

骨吸収を担う巨大多核細胞として知られる破骨細胞は、単核の破骨細胞前駆細胞が互いに融合することで形成されます。元来、Sbno2は炎症を抑制する働きを持つことが細胞レベルで明らかにされていましたが、個体レベルでの炎症反応における役割や生理的機能は謎に包まれていました。

同研究グループがSbno2欠損マウスを作成して解析したところ、Sbno2は炎症の活性化と細菌感染防御には関与していないことが判明しました。その一方で、Sbno2欠損マウスは重篤な大理石骨病を発症し、破骨細胞融合の障害が観察されました。DC-STAMPは破骨細胞融合のマスターレギュレーターとして知られている遺伝子ですが、Sbno2欠損マウス由来の破骨細胞ではDC-STAMPの発現が著明に減弱しており、レトロウイルスによるDC-STAMPの導入はその融合障害を救済しました。さらに、Sbno2はDC-STAMPプロモーターを抑制する転写因子であるTal1と直接結合することでその活性を阻害していました。以上より、Sbno2による破骨細胞融合の促進を介した骨量制御機構が始めて明らかとなりました。

超高齢化社会を迎えた日本において患者数が1000万人にのぼる骨粗鬆症の解決は緊喫の課題です。そのため、破骨細胞分化を抑制する骨粗鬆症治療薬の開発が現在急ピッチで進められています。しかし、そうした医薬品の多くは免疫系の撹乱作用や低Ca血症、顎骨壊死などの副作用をもつため、分化抑制を作用機序としない新たな治療薬の開発が切望されています。Sbno2が欠損した破骨細胞は分化が正常である一方で融合だけが障害され、免疫系には異常がみられなかったことから、この分子を抑制する低分子化合物の同定はより安全な次世代の骨粗鬆症治療薬の開発につながるものと期待されます。


丸山・審良_JEM 201309 解説.pdf


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Contact:

審良 静男 (あきら しずお)
自然免疫学
大阪大学免疫学フロンティア研究センター (WPI-IFReC)

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