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Research
2014.09.16

寄生虫「トキソプラズマ」は、どのように宿主の身体を乗っ取るか? (山本 教授が JEM に掲載)

PRESS RELEASE

免疫学フロンティア研究センターの山本雅裕教授(大阪大学微生物病研究所兼任)らの研究グループは、寄生虫「トキソプラズマ」の病原性因子GRA6が宿主の免疫制御分子であるNFAT4を活性化して宿主自然免疫細胞を強制的に利用(ハイジャック)することが、トキソプラズマ症の重症化の一つの理由であることをつきとめました。

トキソプラズマは寄生虫の一種で、エイズや抗癌剤治療下にある免疫不全患者に致死性の脳症や心筋炎を引き起こします。十分加熱されていない肉(レアのステーキや生ハムでも)から感染する以外に猫のふんから感染することも確認されています。妊婦が感染すると流産、新生児の水頭症など先天性疾患の原因になり、わが国でも報告が増加していますが、トキソプラズマが持つどの病原性因子が局所から全身性の感染拡大に関与するかは全く不明でした。

今回の研究からトキソプラズマが宿主細胞内に分泌するGRA6が宿主重要転写因子であるNFAT4を非常に強く活性化する能力を有し、NFAT4がケモカインを感染局所でさらに誘導することで好中球を呼び寄せることが明らかになりました。そして、トキソプラズマがその好中球をまるで「トロイの木馬」のように利用して、局所から全身性に感染拡大していることが分かりました。


山本雅裕 JEM 解説_20140916.pdf


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Contact:

山本 雅裕(やまもと まさひろ)
免疫寄生虫学
大阪大学免疫学フロンティア研究センター (WPI-IFReC)