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Research
2023.05.12

フリッパーゼとスクランブラーゼによる脂質二重膜内のリン脂質分布制御(櫻木&長田 が Nat Rev Mol Cell Biol に掲載)

PRESS RELEASE

細胞膜は、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、コレステロールからなる脂質二重膜であり、細胞を外部環境から切り離したり、細胞を個々の区画に分けたりする透過性のバリアとして機能します。そして、脂質であるホスファチジルセリン(PtdSer)やホスファチジルエタノールアミン(PtdEtn)は主に細胞膜の内側に、ホスファチジルコリン(PtdCho)やスフィンゴミエリン(SM)は主に細胞膜の外側に位置しています。

脂質二重膜間の脂質の移動を仲介するのが、フリッパーゼとスクランブラーゼというタンパク質です。フリッパーゼは、PtdSer と PtdEtn を細胞内側に局在させます。一方、スクランブラーゼは、膜間のリン脂質をランダムにスクランブルし、細胞表面にPtdSerの露出を促進します。このPtdSerは重要なシグナル伝達分子として、また食細胞(免疫細胞)に対する「自分を食べてくれ」というシグナルとなります。そこでフリッパーゼやクランブラーゼの欠損は、様々なヒト疾患の原因となります。

櫻木崇晴助教、長田重一教授(IFReC 免疫生化学)が、フリッパーゼとスクランブラーゼの構造とその生理的役割に関する最近の研究について解説します。


Contact

長田 重一 教授

snagataifrec.osaka-u.ac.jp

免疫・生化学